2010年02月26日

BOSE M2への挑戦

デジタルアンプの記事を先に書いたが、実はこんなことをやりたかったのだ。

先の福島の仕事で、映像クリエーターというべく職業の人たちと遭遇した。彼らがお客さんに作品をプレゼンする際に準備した装置に、大きな液晶画面や映像を処理する高性能なPCと共に小さなスピーカーが目に付いた。その装置で、製作中の映像と音が再生されるを見る機会があったのだがその音に驚いた。少なからずや10代からオーディオ趣味とするオヤジからしたら、こんな小さなPC用スピーカーから出る音ではないと。サブウーファが机の下にあるにちげーねーときょろきょろしても小さな2つのスピーカー以外に音を出すものは無い。「BOSE」というエンブレムは見てとれた。

BOSEは昔から斬新なアイデアでオーディオ界では独自のポジションを持つメーカーだが、スピーカー完成品を自分で購入するつもりはないが、業界では信頼厚く、丈夫で使いやすいと定番化している機種も多く、いろんな建物あちこちで耳にするスピーカーだ。君も僕も。

それにしても、あの音は一体??・・・・・・・??なまま日が過ぎた。


BOSE M2への挑戦


実に洗練されたデザインでとても小さい。あの低音は出るはずの無いサイズだ。

ボーズは魔法を使っているか、坊主に特別なお経を頼んだに違いない。




ほどなくして映像音響ディレクター(AVディレクターと書いたらマズイだろ)が同じ事務所に彼の作業用装置を並べたら、同じ小さなスピーカーが出てきた。「ギョウカイ」の人は好んで使うようだ。 そばで見せてもらった。  「BOSE M2」というアンプ内臓、リモコン付きの高級PC用スピーカーということだった。

少しグルグルさぐってみると次のようなことがわかった。

○デジタルアンプ内臓、大音量の歪に対してコンプレッションをかけているらしい(この辺がオーディオマニアからすると邪道にみえる、ギターエフェクトならまだしも)
 低音をブースとしているかは正確なところは知らない、たぶんしている(だろう)
○独自技術:ハイパーレゾレーターによる豊かな低音再生
大げさなやつめ、こいつはいわゆるドロンコーンまたはパッシブラジエーターという。それも狭いスリットの対面に2個付けてあり、強力に低音を両側から挟みこむように押し出し、スリット自身もバスレフダクトのように効かせているようだ。うまい考えだ。
○スピーカーユニットは5cmのネオジウムマグネットを持つフルレンジ1個、どこかのユニット製品に似ている。OEMか?



BOSE M2への挑戦



自作オヤジ、しばらく工作から離れているのでここで一念発起、
「BOSE M2」に挑戦じゃ!  名づけて「TM2」製作プロジェクト

で、先の記事「デジタルアンプ」の写真

BOSE M2への挑戦


スピーカーがたくさん並んでいるが、左の砲弾型ディフューザが付いてるやつが本来鳴らすスピーカーでTangbangの5cmフルレンジ ネオジウムマグネット・・・どうよ同じじゃん、 「似ているどこかの製品」かもしれない。

右側の420円たら値札をわざとみせているのが何を隠そうおれの「ハイパーウソネーター」だ。こいつを片側2個、1cmの隙間に対向設置し、スリットから強烈に低音を押し出す・・・・同じじゃん

15Wのデジタルアンプ・・2024だっけ・・M2は20Wくらいか・・2020あたりか・・・ICの型番違うだけだろう、ほぼおんなじじゃん

バスレフの設計はスピーカーの特性素性がわかっていれば、自作のEXCEL計算式で変幻自在になんぼでも設計するのだが、今回はTangBangの特性だけはわかっているものの肝心の「ウソネーター」のf0やm0がわからない。 BOXの空気ばねを活かすポイントの計算が出来ないので経験とカンによる出たとこ勝負しかないのだと、すぐ気がついた。いや、いつものずぼらが発揮される。わくわく

もうひとつ、大きくまね出来ないことがある。  BOXのサイズだ。
7cmや10cmなどというディメンジョンでは各面の板厚が5mm違うだけで大きさへのインパクトはとても大きい。本家は3mmくらいのアルミダイキャストで出来ており、剛性をかせぎつつ強度もあるので箱なりはしないし、サイズを極小にできる。 おれの「TM2」は木材でかつ内部補強を入れ、かつ、レゾネータースピーカーがマグネット付きのままなので外寸は大きくなってしまう。CADで細かく図にする。5mm厚の透明塩ビ板もあるのだが、箱をこしらえたことも無く接合に自身がない。


アマチュア工作でとりあえず実験段階なので廃材利用にしてみる。11mmのフランス直輸入の板である。どこかで見たことのある画像であろう・・ひひひ・・・(おいしゅうございました)  ヴーヴ クリコ

BOSE M2への挑戦


設計をまとめてちいさな板切れを切り出し、穴をあけ、接着剤で組み上げるも、ツキが弱い。
シャンパンが沁みこんでいるのだろうか、時間が経ちすぎたタイトボンドが経年劣化したのだろうか。あまりに遠ざかったスピーカー工作のブランク。

なんとか箱にまとめて、実験段階なので仕上げはせずに音出し・・・・・

BOSE M2への挑戦
BOSE M2への挑戦


オヤジの「敬虔なるカン」ってやつは生きていた。  5cmスピーカーから出る音ではない。 ウッドベースが聞こえる。テナーサックスが良い良い。 うほうほ   PC回りのスピーカーとしてならかなり使える素性。

この5cmは180cmの筒に入れて共鳴管で鳴らしたことがあるが。それよりイイ。「ハイパーウソネーター」はそこそこ効いており1cmのスリットから結構な音量の低音が吐き出される。 低周波で共振がなされている証拠だ。 

もし、うまく共振しない場合は、「ウソネーター」を2個並列にしてインピーダンスを下げてコイルをかましてウーファにしちまって、むりくり150Hz以下を押し出そうかとも考えていたのだが、その必要は無い。一発目でかなり良い結果が得られた。

ただ、今回使った「ハイパーウソネーター」の振動重量と箱の容積がベストポジションとは限らない。f0は結構高いだろうし、容積をもう少し減らしたほうが良いかもしれないし、ウソネーターのm0を大きくして最低共振周波数を下げてみるのもどうだろか、試すにはいちいちバッフル回りを作り直す必要がある。それ以外には、少し吸音材で中高音の反射をとってやるともっとすっきりするだろう。

この台湾製の小さなスピーカーはとても良く出来ていて、振幅がリニアに大きく取れ、マグネットの強さで重低音でもしっかり動く。音量を上げると5cmユニットの振幅が最大で底着きするので、BOSEのコンプレッション回路は一般の消費者に売る製品としては正解だろう。同じようなユニットだとしたら・・・


最初の「さぐり」としては大成功・・・そのうち続きを・・・もう少しきれいに作り直す・・・ポチッとな
BOSE M2への挑戦

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Posted by とーしろ at 06:29│Comments(5)音楽(聴く道具)
この記事へのコメント
かつて、高校生の頃、FMfanという雑誌を購読していて、長岡鉄男さんの自作スピーカー講座に感化されて、バックロードホーンスピーカを作った頃のことを思い出しました。
面白そうなことに感化されやすい自分を自覚したのはこの辺りからでした。
三つ子の魂百までも、で、現在も変わらず、面白そうなことには手を出さずにいられません。
Posted by 怪しい調理人 at 2010年02月27日 00:30
なかなか見栄えのいいユニットですね。

意外なほどの低音は、ネオジウムの影響か。

坊主のSPは低域の位相に違和感があって手をだしませんでしたが、PC用なら気にならないかも。
バイアンプで、音質向上しそうですかね。


自分はPC用のスピーカーもアルテックとJBL使い分けてます。爆
Posted by kaz at 2010年02月27日 01:22
【怪しい調理人さま:長岡さんの若い頃の本にはずいぶん勉強させてもらいました。私に影響を受けた従兄弟は箱舟におじゃまし、本人と話をさせてもらった経緯があります。合掌。



【kazさま:このユニットは普通のバスレフ、共鳴管BOXにしても5cm口径では振動が」音」になってあまり聴こえてきません。動いているのに空気に対して空振りしてしまいます。

BOSEのM2はグッアイデアです。

なぬ?アルテックとJBLでパコソン廻りを固めてるってか、贅沢な。(笑)   前はfostexの有名な8cmをバックロード左右一体BOXを鳴らしましたが、子供に怒られるので最近は画面のSPしか鳴らしません。

今回、作る気になったのはどーしてもこのパッシブラジエーター対抗配置を試したくて。
Posted by とーしろ at 2010年02月27日 06:56
久々の手作りオーディオネタね。
やりたかったのね。我慢してたのね。
製欲強いものね。
ハイパーレゾネータ?ドロンコーン?旨いこと考えたこと。
穴あきのバスレフでなくてドロンコーンで蓋をしてしまって
先ずは極小の密閉箱をこしらえてしまうのが第一段階。
フリーエアだと空振りしてしまう低域のコーンの振幅に
極小チャンバで空気バネ作り出して空振り分に多少ともレスポンス与えたら
得られた低域のレスポンスをドロンコーンで位相反転させて表の音に合体させて低域を増強する。
極小密閉箱ではf0&Q0共に上昇してしまいドライバのフリーエアでの特性とは
かなり違うものになるのでしょうけど、変化した特性に合わせてドロンコーンを
調整チューニングする。しかも2個対向配置で反発増強を図る。
こんな小さなドロンコーンを自作するわけは行かないし未知のパラメータが
ツーマッチメニメニ過ぎて特性決め打ちして目論み通り作ろうなど無理な代物そうだけど
それなりのドライバをドロンコーン代わりにうまくいったみたいで何よりです。
ドロンコーン代わりのドライバのボイスコイルをショートさせてカンカンの密閉箱の音になったら
ハイパーレゾネータがちゃんと動作している証明になると思う。
それにしてもひどい箱だわね。マッチ棒の親方筋の白樺系の材木かしら。
クリコのマグナムはどうでもいいけど、例のマグナムは健在かしら?
Posted by シモネッタ(こないだまで関内の昔のレコやってました)  at 2010年03月04日 02:32
【シモネッタさま:なんちゅう派手な名前で来たことやら。

いつかもらったSAXとE・ベースだけのCDはかなりイイ感じで鳴り響くも、腰高の低域はまだまだ本家M2の迫力に及ばず、420円のウソネーターは1円玉貼って421円にしたが1g+ボンドの重さでは案の定ほとんど変化なしを確認し共振fがかなり高い感じはするので、5円貼ろうか10円貼ろうか、はたまたハイパ-レゾネータ自作もアイデアありの材料探しにコメリにいこか。

SP置いてある部屋におらのデスクトップ持ち込めずあきらめていたPCでの測定をノートPC持ち込めばコンデンサマイクで測れるので次回はやっちみっかな。

試作段階であまりカッコ悪いの見せちゃいかん典型みたいな時間無しの展開に急いでblog載せる放浪生活も3週間くらいは家に居られそうなごちゃごちゃ。

4月にはまたドサ回りの旅芸人。
Posted by とーしろ at 2010年03月04日 09:07
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