黒川能 資料5 春告げ笛

とーしろ

2008年09月17日 19:24



前の記事で「笛の名手逝く」にも載せた歌集「春告げ笛」の紹介。
難波玉記さんの奥様である道子さんの歌集で、2006年に発行。
王祇会館で購入可。

春日神社の笛を代々受け継ぐ「甚九郎家」に嫁いできた著者が
母親として、妻として、家の嫁として、我が子を愛しみ、若く頼もし
い夫を愛し、シベリア抑留を経験した舅で「笛の名手」の義父を
思いながら、郵便局の仕事さえこなしながら書き綴った「黒川」。
「王祇祭」の描写は唸りをあげて胸に迫る。

後に夫の町長選挙で職は辞するが、これからがまた苦難との戦い。
それでも、愛するわが娘の出産、月山の向こうから聞こえる初孫の
産声。苦しかった過去など帳消しにして余りがくる喜び。

黒川関連の本には必ず登場、と言っても過言ではないほど文章を
載せておられる歌人馬塲あき子の主宰する「かりん」に参加し自由
闊達な表現力と、現場での「なま」な空気をを描ききる「想い」と「感性」
、「優しさ」の強さが、月山に残る雪に反射する夕日のようにまぶしい。

黒川のことを理解するのに、この歌集は内側からのポジションで語る
唯一無比、貴重な一冊と思う。


(歌人「馬塲あき子」が黒川能に、黒川に魂を吸い寄せられて、結果
実現した歌集だと理解するが、人の出会いや運命は面白い。とーしろは
どなたにも直接お会いしておりませんが、どうかご容赦。blog「笛の名手
逝く」にコメントを書いてくれた「れいれい」さんは娘さんです。)




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