2008年09月17日

黒川能 資料5 春告げ笛

黒川能 資料5 春告げ笛

前の記事で「笛の名手逝く」にも載せた歌集「春告げ笛」の紹介。
難波玉記さんの奥様である道子さんの歌集で、2006年に発行。
王祇会館で購入可。

春日神社の笛を代々受け継ぐ「甚九郎家」に嫁いできた著者が
母親として、妻として、家の嫁として、我が子を愛しみ、若く頼もし
い夫を愛し、シベリア抑留を経験した舅で「笛の名手」の義父を
思いながら、郵便局の仕事さえこなしながら書き綴った「黒川」。
「王祇祭」の描写は唸りをあげて胸に迫る。

後に夫の町長選挙で職は辞するが、これからがまた苦難との戦い。
それでも、愛するわが娘の出産、月山の向こうから聞こえる初孫の
産声。苦しかった過去など帳消しにして余りがくる喜び。

黒川関連の本には必ず登場、と言っても過言ではないほど文章を
載せておられる歌人馬塲あき子の主宰する「かりん」に参加し自由
闊達な表現力と、現場での「なま」な空気をを描ききる「想い」と「感性」
、「優しさ」の強さが、月山に残る雪に反射する夕日のようにまぶしい。

黒川のことを理解するのに、この歌集は内側からのポジションで語る
唯一無比、貴重な一冊と思う。


(歌人「馬塲あき子」が黒川能に、黒川に魂を吸い寄せられて、結果
実現した歌集だと理解するが、人の出会いや運命は面白い。とーしろは
どなたにも直接お会いしておりませんが、どうかご容赦。blog「笛の名手
逝く」にコメントを書いてくれた「れいれい」さんは娘さんです。)

黒川能 資料5 春告げ笛


ランキン押してちょうだい黒川能 資料5 春告げ笛


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Posted by とーしろ at 19:24│Comments(2)黒川能
この記事へのコメント

『自転車の乗車許可下り昼食も忘れて帰らぬ二女は自然児』、自然児れいれいです。
私が3歳の頃から歌を作り始めた母の歌集には、私のおてんばぶりも歌い込まれております(笑)
小さい頃から書斎で『言葉が出てこない〜』とウンウン唸っている後ろ姿をみて成長しました。

私は『形とは力なるかも若きひと羽織袴に扇をかざす』が好き。王祇祭をまるっと観たとーしろさんなら感じて頂けたのでは…?なんて思ったりして。
Posted by れいれい at 2008年09月18日 00:06

れいれいさん:ありがとう、私には羽織袴もだっぷらもかっこよくてただただあの世界にのまれてしまうのでした。
Posted by とーしろ at 2008年09月18日 05:38
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